棚卸をエクセルで効率化。数える前に決める3つ
結論から、いきます。棚卸に時間がかかるのは、数え方が遅いからではありません。段取りが毎回ゼロからだからです。
「どこから数える」「いつ止める」「合わなかったらどうする」。この3つが決まっていない現場は、数えている最中にずっと相談が発生します。
今日は、数える前に決める3つと、そのまま使える表の形を置いていきます。
なぜ、何度数えても合わないのか?
数えている間も、在庫が動いているからです。
朝から数え始めて、昼に出荷があり、夕方に入荷がある。この日の帳簿と、この日の実数は、そもそも別の時点の数字です。合わないのが当たり前です。
⚠ 締めの時刻を決めてください。「17時の状態で数える」と決めれば、その後に動いたものは翌日の記録になります。数え直しが1回減るだけで、棚卸は短くなります。
数える前に決める、3つのこと
① どの順番で数えるか
棚番の順に、一筆書きで回れる順番を決めます。
行ったり来たりが、いちばん時間を食います。紙の表も、その順番に並べておいてください。表の順番と棚の順番が違うと、探す時間が増えます。
② いつ締めるか
「何時の状態を数えるか」を先に決めます。
締めたあとに動いたものは、その日の棚卸には入れません。入れると、また合わなくなります。
⚠ 出荷の多い会社は、終業後か始業前に締めるのが現実的です。
③ 合わなかったとき、誰がどうするか
その場で帳簿の数字を書き換えないでください。
書き換えると、なぜズレたのかが消えます。差は差として記録に残し、あとで原因を見ます。原因は、だいたい3つのどれかです。
| 型 | 中身 |
|---|---|
| 記録漏れ | 入出庫を入れ忘れた。いちばん多い |
| 場所違い | 別の棚にあった。数えたつもりが数えていない |
| 数え間違い | 箱の入数、端数の数え方 |
棚卸表は、どう作ればいいのか?
5列+差異の1列です。
| A:品番 | B:品名 | C:棚番 | D:帳簿数 | E:実数 | F:差異 |
|---|---|---|---|---|---|
| K-100 | 取付金具 A | A-1 | 120 | 118 | -2 |
| K-200 | 取付金具 B | A-2 | 80 | 80 | 0 |
| K-300 | シャフト | B-1 | 45 | 51 | 6 |
F列(差異)に入れる式は、これだけです。
=E2-D2
マイナスは「帳簿より少ない」、プラスは「帳簿より多い」です。
あとは、差異が0でない行に色を付けます。
- 表の範囲(A2からF列の最終行まで)を選ぶ
- ホーム → 条件付き書式 → 新しいルール
- 「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選ぶ
- 数式に
=$F2<>0と入れて、塗りつぶしの色を決める
これで、差が出た行だけが色付きで並びます。確認するのはそこだけです。
⚠ 担当者・単価・仕入先の列は、最初は入れないでください。当日に書く項目が増えるほど、記入が止まります。5列で1回まわしてから足します。
数えた結果を、どう使うのか?
差異の一覧が、そのまま次の改善リストになります。
- 同じ品目で毎回ズレる … 入出庫の記録の仕方に原因があります
- 場所違いが多い … 棚番の表示か、戻す場所のルールの問題です
- 数え間違いが多い … 箱の入数表示を棚に貼るだけで減ります
⚠ 差は、在庫の表に「調整」の行として積んでください。在庫数を直接書き換えると、どれだけズレたかが残りません。積み方は在庫管理システムをエクセルで自作に書きました。
次回を半分にするには、何を残すのか?
当日の数字だけでなく、段取りを残します。
① 数えた順番(棚番の並び):__________
② 誰がどこを担当したか:__________
③ 何時から何時までかかったか:__________
④ 差異が出た品目(次回はここから数える):__________
毎回ゼロから相談しているのが、いちばん時間を食っています。この4つが残っていれば、次回は同じ順番で動けます。
スマホやAIを使うと、何が変わるのか?
紙に書いて、あとでパソコンに打ち直す時間が消えます。
棚の前でスマホに実数を入れて、そのまま表に積み上がる形にすれば、転記がなくなります。実際に、入力項目を削って1画面に収めた売上入力の仕組みを作って納めたことがあります。分かったのは、項目を減らすほど記録が続くということでした。
⚠ バーコードやQRの読み取りは、棚と商品に貼る手間が先に来ます。品目が多く、毎月棚卸をしている会社なら効きますが、年1回なら先に段取りを直すほうが早いです。
工程の記録の作り方は生産管理をエクセルで自作に、6列の表でまとめています。
今日やること
次の棚卸の前に、紙に3行書いてください。
① 数える順番(棚番を並べる):__________
② 締めの時刻(何時の状態を数えるか):__________
③ 差が出たとき、誰が判断するか:__________
この3行があるだけで、当日の相談が消えます。表と式は、そのあとで十分です。
「うちは毎年、深夜までかかる」と思われたかもしれません。それは人が遅いからではなく、決まっていないことを、その場で決めながら数えているからです。決めてしまえば、同じ人数で終わります。応援しています!
よくある質問
棚卸をエクセルで効率化するには、何から始めればいいですか?
表を作る前に3つ決めてください。棚を数える順番、在庫の動きを止める締めの時刻、帳簿と現物に差が出たときに誰がどう直すかです。特に締めの時刻が決まっていないと、数えている間に出荷や入荷が起き、何度数えても合いません。順番と時刻が決まっていれば、表は品番・棚番・帳簿数・実数・差異の5列で足ります。
棚卸表には、どんな列が必要ですか?
品番・品名・棚番・帳簿数・実数の5つに、差異の列を1つ足すだけで足ります。差異は「実数−帳簿数」で自動計算し、0でない行だけ条件付き書式で色を付けると、確認すべき品目が一目で分かります。担当者や単価の列は、使う場面があると分かってから足してください。列が増えるほど、当日の記入が止まります。
帳簿と現物が合わないとき、どうすればいいですか?
その場で帳簿の数字を書き換えないでください。差異は記録として残し、原因を3つの型で見ます。記録漏れ(入出庫を入れ忘れた)、場所違い(別の棚にあった)、数え間違いです。差異が大きい品目は一度その場で数え直し、それでも合わなければ調整として1行積みます。どの品目でズレやすいかが分かると、次の棚卸から対象を絞れます。
棚卸の時間を次回から短くするには、何を残せばいいですか?
当日の記録に加えて、棚番の並び順と、担当の割り当て、かかった時間を残してください。次回は同じ順番・同じ割り当てで動けるため、迷う時間が消えます。あわせて差異が出た品目だけを別表にしておくと、次回はそこから数えられます。毎回ゼロから段取りを組み直していることが、時間がかかる最大の理由です。
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