原価がどんぶり勘定の製造業へ。
エクセルで始める、製品別の原価

全体では黒字。だから細かくは見ていない。
——この状態がいちばん危ないのは、赤字の品目を黒字の品目が埋めていても、 誰も気づけないことです。

そして気づかないまま、その赤字品目に一番手をかけていることがあります。 忙しいのに儲からない会社の多くは、ここが原因です。

システムを入れる前に、エクセルでできます。 原価計算システムを入れても、現場が工数を入力しなければ正しい原価は出ません。 先に手で数品目だけ出してみると、何を測れば原価が出るかが分かり、 システムを選ぶ目も変わります。

手順は、6つです

1売上上位の5品目だけを、取り出す

全製品をやろうとすると、必ず途中で止まります。多品種少量の会社ほどそうです。まず売上の上位5品目。たいてい、この5つで売上のかなりの部分を占めています。ここだけ出せば、判断に必要な材料は揃います。

やること:直近1年の売上を品目別に並べて、上位5つを書き出す。それ以外は、いったん無視する

2材料費を、実際の歩留まりで見る

図面上の使用量ではなく、実際に投入した量で計算します。端材、切り粉、不良でやり直した分。これらは全部その品目の材料費です。ここを図面値で計算していると、原価が実際より安く出ます。

やること:購入量 ÷ 完成した個数 = 1個あたりの実際の材料費。図面の理論値と比べて、差が大きい品目に印をつける

3加工時間を、1週間だけ測る

正確な工数管理は要りません。1週間、対象の5品目を作るときだけ時間を書き留めます。精度は粗くて構いません。「思ったより時間がかかっている」が分かれば、その時点で判断が変わります。

やること:作業日報に「品目・開始・終了」を書いてもらう。1週間で十分。それを時給に掛けて加工費にする

4段取り時間を、必ず別に数える

ここが、どんぶり勘定でいちばん抜けるところです。小ロットの品目は、段取りの比率が高くなります。加工時間だけで見て「短いから安い」と判断すると、実際は赤字ということが起きます。段取り2時間・加工30分の品目は、加工30分の仕事ではありません。

やること:段取り時間 ÷ そのロットの個数 = 1個あたりの段取り費。ロットが小さいほど、この数字が跳ね上がる

5設備の費用を、動いた時間で割る

機械の減価償却、電気代、保全費。これらを全社で一括りにしていると、設備を多く使う品目が安く見えます。厳密な配賦は要りません。その機械の年間費用を、年間の稼働時間で割って「1時間あたりいくら」を出せば十分です。

やること:機械の年間費用 ÷ 年間稼働時間 = 機械1時間あたりの費用。それを品目の加工時間に掛ける

6見積単価と並べて、差を見る

ここまでで、1個あたりの原価が出ます。それを実際の販売単価と並べます。この瞬間に、たいてい何かが見つかります。「主力だと思っていた品目が、いちばん薄かった」というのは、珍しい話ではありません。

やること:販売単価 - 原価 = 1個あたりの利益。それに年間数量を掛けると、その品目が年間いくら稼いでいるかが出る

エクセルの表は、この形にします

列はこれだけで足ります。1品目1行です。

A 品目名売上上位の5つだけ
B 年間数量1年で何個作ったか
C 材料費購入量 ÷ 完成した個数(図面値ではなく実際の投入量)
D 加工費加工時間 × 時給
E 段取り費段取り時間 × 時給 ÷ ロットの個数
F 設備費機械の1時間あたり費用 × 加工時間
G 原価=C2+D2+E2+F2
H 販売単価実際に売っている単価
I 1個の利益=H2-G2
J 年間の利益=I2*B2ここを大きい順に並べ替える

数式は3つだけです。G列(足すだけ)、I列(引くだけ)、J列(掛けるだけ)。 関数は要りません。

並べ替えるのはJ列(年間の利益)です。 I列(1個の利益)で並べると、「1個あたりは薄いが、数が出ている品目」を切ってしまいます。 逆に「1個あたりは厚いが年に数個」の品目を主力だと思い込むことも起きます。 見るのは率でも単価でもなく、年間で残る金額です。

E列(段取り費)とC列(歩留まり)を空欄にしないでください。 エクセルの原価表が実務で使われなくなるのは、たいていこの2つが抜けているからです。 材料費と加工費だけの表は、小ロットの品目を必ず安く見せます。

赤字の品目が見つかったら

すぐにやめる判断はしないでください。3つ確認します。

確認することなぜ
その品目をやめると、他の受注も失われないか 抱き合わせで受けている場合、取引全体では黒字のことがあります
値上げの余地はないか 原価の根拠を示せれば、通ることがあります
段取りや工程で、原価が下がらないか ロットをまとめる、段取りを短縮する。作り方で変わります

大事なのは、「知らずに赤字を続けている」状態から 「分かったうえで残している」状態に変えることです。 判断が同じでも、意味がまったく違います。

担当するのは

中小企業診断士(経済産業大臣登録)の吉田直樹が担当します。 製鋼プロセスの技術開発に6年、設備診断に20年携わりました。 東京電力・三菱重工・ホンダなど30社以上の設備を見てきました。

原価がどう積み上がるかを、帳簿ではなく現場で見てきました。 段取りが原価に効くこと、不良のやり直しがどこに乗るか、 設備の費用をどう見るか。机の上の理論としてではなく、実際の工程として分かります。 ご相談は代表がそのまま担当します。

東海市の中小企業診断士 Lucky Field東海市の経営コンサルタントとしての仕事担当者のプロフィールを見る事務所の概要を見る

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よくあるご質問

原価計算システムを入れるべきでしょうか?
先に、エクセルで数品目だけ試してみることをお勧めします。理由は2つあります。1つは、システムを入れても、現場が工数を入力しなければ正しい原価は出ないこと。もう1つは、実際に手で計算してみると「何を測れば原価が出るか」が分かり、システムを選ぶ目が変わることです。手計算で赤字品目が1つでも見つかれば、その時点で投資回収の見込みが立ちます。システムはそのあとで構いません。
全製品の原価を出すには、どのくらいかかりますか?
全製品を出す必要はありません。多品種少量の会社ほど、全部を精密に出そうとして途中で止まります。売上上位の5〜10品目で、たいてい売上の大半を占めます。まずそこだけ出せば、意思決定に必要な情報は揃います。上位10品目なら、材料費が分かっていれば数日で形になります。
工数を測っていないので、加工費が分かりません。
正確な工数がなくても始められます。1週間だけ、対象の品目を作るときにストップウォッチで測るか、作業日報に「何を何時間」を書いてもらう。それで概算が出ます。精度は粗くて構いません。「この品目は思ったより時間がかかっている」が分かれば、その時点で判断が変わります。精度を上げるのは、判断が変わってからで間に合います。
段取り時間や不良の分は、どう扱えばいいですか?
ここが、どんぶり勘定でいちばん抜ける部分です。小ロットの品目は、段取り時間の比率が高くなります。加工時間だけを見て「短いから安く出せる」と判断すると、実際は赤字ということが起きます。不良も同じで、作り直した分の材料と時間は、その品目の原価です。最初から精密に配賦する必要はありませんが、「段取りが長い品目」「不良が出やすい品目」に印をつけておくだけでも見え方が変わります。
赤字の品目が見つかったら、やめるべきですか?
即断はしないでください。3つ確認します。①その品目をやめると、他の受注も一緒に失われないか ②値上げの余地はないか ③段取りや工程の見直しで原価が下がらないか。取引全体を見て赤字でないなら、あえて残す判断もあります。大事なのは「知らずに赤字を続けている」状態から「分かったうえで残している」状態に変えることです。
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初回のご相談は60分無料です。オンラインでも対応しています。いまお使いの見積書や原価の資料をお持ちいただければ、何が抜けているかまではその場でお伝えできます。無理な勧誘はいたしません。

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