“適正価格”は誰が決めるのか。相場でも原価でもない、という話

“適正価格”は誰が決めるのか。相場でも原価でもない、という話

結論から、いきます。 「適正価格」を決めるのは、相場でも、原価でも、あなたでもありません。**お客さんが感じる“価値”**です。ここを取り違えると、儲からない値段を「適正」だと思い込んだまま、ずっと苦しむことになります。

多くの社長の値決め、実はこの2つだけ

「うちの値段って、適正なんだろうか」——この不安に対して、たいていの会社はこの2つで答えを出そうとします。

  1. 相場を見る:「同業がこれくらいだから、うちもこれくらい」
  2. 原価から積む:「原価がこれで、利益をこれだけ乗せて…」

一見まともです。でも、考えてみてください。

相場は「他社の都合」の平均値です。あなたの商品の価値とは何の関係もない。しかも相場に合わせた瞬間、お客さんから見たあなたは「同じようなものの一つ」になり、比較と値下げ競争の土俵に自分から乗ることになります。

原価は「社内の都合」です。お客さんは、あなたの仕入れ値がいくらかなんて知らないし、興味もない。原価が教えてくれるのは「これ以下で売ったら損」という下限だけ。適正価格は教えてくれません。

じゃあ、価格は何で決まるのか?

お客さんの頭の中で決まります。もっと言えば——

価格の妥当性は、「その悩みが解決されることに、いくら払えるか」で決まる。

例の話をしましょう。数千円で買える枕がいくらでもある中で、3万3千円の枕が飛ぶように売れています(詳しくは3万3千円の枕が売れる話で書きました)。あの枕、原価が10倍なわけでも、相場を調べて決めたわけでもありません。「睡眠の質で人生が変わる」という価値に対して、3万3千円が“安い”と感じる人に売っているんです。

同じ商品でも、誰の・どんな悩みに向けるかで、価値はまるごと変わる。つまり適正価格は1つじゃない。あなたが「誰に何を売るか」を決めた瞬間に、初めて決まるものなんです。

「相場の呪い」から抜ける3つの問い

明日から使える問いを3つ置いておきます。自分の主力商品で考えてみてください。

  1. この商品は、誰の・どんな“痛み”を解決している?(機能ではなく、悩みで答える)
  2. その痛みが消えることに、その人はいくら払える?(あなたの原価は一旦忘れる)
  3. それが伝わる見せ方・言い方になっている?(伝わらない価値は、無いのと同じ)

3番が刺さる人は多いはずです。価値はあるのに、見せ方が「相場と比べてください」という並べ方になっている——それでは高く売れません。(見せ方・順番の技術は値上げせずに客単価を上げる4つの型誰もが知らないおとりの使い方へ。)

原価と相場の“正しい使い方”

誤解のないように。相場も原価も、無視しろという話ではありません。役割を間違えないだけです。

道具正しい使い方間違った使い方
原価下限の確認(これ以下は売るほど損)「原価×◯倍」で値決め
相場お客さんの予算感を知る参考情報「合わせるべき正解」として従う
価値値決めの主役(考えたことがない)

今日やること

主力商品を1つ選んで、紙にこう書いてみてください。

「この商品は、__な人の、__という悩みを解決する。それが解決するなら__円払う人がいる」

空欄が埋まらなければ、それは値段の問題じゃなく、「誰に何を売っているか」がまだ言葉になっていないということ。埋まったら、その金額と今の値段を見比べてください。——そこにあるギャップが、あなたの会社に眠っている利益です。

値段は、あなたの商品の「価値の宣言」です。堂々といきましょう。応援しています!

よくある質問

適正価格はどうやって決めればいいですか?

相場や原価から逆算するのではなく、「お客さんが受け取る価値」から決めるのが基本です。同じ商品でも、誰のどんな悩みを解決するかで価値は変わります。原価は“下限”を教えてくれるだけで、適正価格そのものは教えてくれません。

相場より高い値段をつけたら、売れなくなりませんか?

相場と比べられる見せ方をしていれば、売れにくくなります。逆に「誰の・どんな悩みを・どう解決するか」が明確なら、相場との比較から抜け出せます。実際、相場の数倍の価格で売れている商品は、機能ではなく価値の伝え方が違います。

原価から値段を決めるのは間違いですか?

原価は「これ以下で売ると損をする」という下限を知るためには必須です。ただし『原価×◯倍だから適正』という決め方は、お客さんの感じる価値と無関係な社内の都合です。下限確認には使い、値決めの根拠にはしない、が正解です。

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